Vol.1 “IZAKAYA LEAGUE”

<はじめに>
●クイズ問題を作り始めたのは高校時代。その頃は、何の疑いもなく早押しクイズに興じていた。
●大学でサークルに入り、ありきたりな「企画」(早押しで正解した人がカードを引くとか、そんなの)で自分の問題を披露するたびに、ある「しっくりとこない感覚」が私を襲った。その正体が、「正解によって展開するルール」と「正解が出ることを前提としていない自分の問題作り」のギャップにあることに気づくのに時間はかからなかった。
●普通なら、ルールに合わせ、正解が出るような問題作りを心がけるところだろうが、私は「クイズのルールとは、正解を前提にしなければいけないものなのか」と疑ってみる性格である。そんなわけで、クイズのパターンの模索も始めたわけだが、学生時代には納得のいくものはできなかった。また、私の後輩達も新しいパターンのクイズを試みていたが、正直言って「面白い」と思えるものは皆無だった。
●答を与えてくれたのはイギリスだった。2000年の5月に初めて行ったイギリスで、私は数多くのクイズ番組を見て、たくさんのクイズ本を購入した。「早押しクイズ」ではないのにスピーディーなクイズ番組、遊び方(ルール)が書かれておりゲームとして完結されているクイズ本に私は魅了された。
●それまでの私には「早押しという形式の否定」という意識が強過ぎたのかも知れない。確かに「早押しクイズ」には様々な限界があるのだが、そのテンポや緊張感には圧倒的な魅力がある。それすら否定しては納得のいくパターンができるわけがなかった。そもそも「正解の出ない問題の連続によりゲームが展開しないことから来るテンポの悪さ」が問題だったわけで、その代わりにテンポの悪いものを作っても何の解決にもならなかったのである。
●「テンポや緊張感のあるゲーム」としてのクイズを最も強く感じたのは、イギリスのクイズ本にあった“PUB LEAGUE”のルールであった。後で紹介するように、このルールは問題に一定の「縛り」が加えられるのだが正解・不正解に関わらずゲームは展開していく。私はこのルールを日本向けに、さらにテンポや緊張感のあるものにアレンジしてみることにした。

<ルール>
●2チーム(ここでは「Aチーム」、「Bチーム」とする)による対抗戦。1チームは2人or3人。
●全部で8つのラウンドに分かれる。
ラウンド1〜3、5〜7は個人に対し出題
 ・各チーム1人が代表者となる(代表者はチーム内で、ラウンド毎にローテーションさせる)。
 ・両チームの代表者に対し(=チーム内での相談は不可)、交互に3問出題。正解すればポイント。
 ・不正解・無解答の場合は司会者が「オープン」を宣告。相手チームに解答権が移る。チーム内での相談は可能。正解すればポイント。
ラウンド4はAチーム、ラウンド8はBチームに対し3問出題
 ・正解すればポイント。
 ・不正解・無解答の場合は司会者が「オープン」を宣告。相手チームに解答権が移る。チーム内での相談は可能。正解すればポイント。
●全ラウンド終了時点で得点の多いチームが勝ち。
<注意点>
●個人の解答は出題完了後3秒以内に行う。なお、出題中の解答はお手つきとみなし、「オープン」が宣告される。
●チームでの解答(「オープン」宣告後及び、ラウンド4、ラウンド8)は出題完了後7秒以内に行う。

<問題例>
その1。 その2
●一見すると「□といえば☆ですが、■といえば何?(答:★)」という問題を分割しただけのように見えるが、そう単純なものだけではない。むしろそのような(早押し用の)問題ではできない展開を入れ込んだりして遊んでいる(その1・ラウンド6の最後の2問は、実は答えに関連があったりする)。
●通常は極力避けるようにしているオリジナルでない問題も、「組み合わせ方」のセンスを見て欲しいということで積極的に入れている。
●もともとの“PUB LEAGUE”でも問題は関連性のあるものになっており、これは相手の問題にも耳を傾けさせるという意味で、「緊張感を切らない」ために非常に有効に機能していると思っている。

<補足>
●実際に遊ぶ際には、得点報告は4ラウンド終了時と最終の8ラウンド終了時のみにしている。得点の計算をしながら、それまでの問題に関するおさらいをやる時間が、司会者としては忙しいが楽しい。
●ちなみに“PUB LEAGUE”は全10ラウンド、1ラウンド5問。しかも、個人への出題とチームへの出題の配分が逆(つまり、ラウンド5とラウンド10のみが個人に対する出題)。
●これは「正解・不正解にかかわらず展開する」形式として紹介したが、私がもう一つイギリスから持ち帰ったパターンにTV番組“15to1”(残念ながら終了したらしい)の「完全コピー版」があった。こちらは「不正解によってのみ展開する」形式である。自分の手が加わっていないので、ここでは紹介しないが、こちらでルールをチェックしてみて下さい。英語ですが。

●この企画用の問題を練っているうちに、2択の方がふさわしいネタが増えていた。そこで私は今まで述べたエッセンスを活かした「オール2択クイズ」を考えた。次回紹介するが、一体どんなものか推測してみて下さい。

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