2022年6月のクイズ


〔Every Rose Has Its Thorn〕
Q.ルソーが中江兆民だとすると、ロダンは誰?
A.
朝倉文夫
「東洋のルソー」と呼ばれた中江兆民は、ルソーの「社会契約論」の一部を漢訳している。一方、「東洋のロダン」と呼ばれた朝倉文夫(1883〜1964)には、ロダンとの直接の接点は無い。
●この問題を、匿名の新聞記者やら権威志向のクイズプレーヤーやら、そいつらの顔色を窺った結果「べからず集」ばかり頭に叩き込まれた子らは酷評するだろうな。「限定が甘い」だの(一応別解が無いか調べてはいます)「『東洋のルソーと呼ばれたのは中江兆民ですが、東洋のロダンと呼ばれたのは誰?』というキレイなパラレルにしなければいけません」だの「『早稲田大学内の大隈重信像の作者としても知られる』といった情報を加えて正解が出るように導くべきだ」だの。まあ、素人の言うことは全無視するけど(プロの言うことには耳を貸す。ただし貸すだけ)。
●そういう野暮なことを言わない仲間内に向けた問題だから出せたが、野暮な連中がいる場ではこのままで出題することは控えるだろう。かくして「クイズの可能性」は失われていく。

●でもね、謎解きってこの程度のゆるさで成立してませんか?だって「□(図形の四角)と八(漢字の八)を合わせると、四(漢字の四)になりますよね」とか言ってんすよ。いやいや、なってねえよ!成り立ち上も形の上でもなってねえから!と思うのだが、そんな批評をする野暮な奴はいない。むしろ「わー、気づかなかったー!よく思いつきますねー、すごーい!天才!」とか言われるんすよ。「作る側にほどよく優しい」世界では創作意欲も湧くというもの。
●一方、解く側とすれば、「ほどよく易しい」のですよ、謎解きって。もちろん難問もあるし、そっちは「常連化、組織(部活)化、対策」が進んでいって狭義のクイズ(私は「謎解きもクイズ」派なので、便宜上こう表現します。揶揄ではありません)と似たような世界になると思いますが、今回そちらにはスポットを当てません。
●狭義のクイズにおける「易しい問題」というのは、条件反射的に答える「ベタ問題」か、懸賞クイズによくある「5周年記念キャンペーンクイズ!次の○に入る数字は何? 問題:『おかげさまで○周年』」みたいなものばかりで、あまり頭を使った感じがしないのです。謎解きの方は、簡単な問題でも必ずと言って良いほど「変換」を行ったりするので、頭を使って解いた気になれるのですね。

●まとめると、「作る側にほどよく優しく、解く側にほどよく易しい」謎解きは、敷居が低く「大衆向け知的娯楽」として狭義クイズよりも適している、ということです。そして狭義クイズ側にとって救いなのは、謎解きの第一人者が「クイズとは違う」と言い張ってくれていること。まだ余地を残してくれているのですから。


〔こういうのをサクッと正解できる高校生が観たい〕
Q.お笑い芸人・ゆりやんレトリィバァがNetflixのドラマ「極悪女王」でダンプ松本を演じることが正式に報じられましたが、かつてダンプ松本がTVドラマ「神さまが命、もどしてくれた」で演じた実在のお笑い芸人は誰?
A.
ちゃっきり娘の松原秋美(「秋美ちゃん」が出れば正解でいいです)
1989年6月29日放送。クモ膜下出血で再起不能と言われながら復活した秋美(実話)を演じた。
ちなみに春美は萬田久子、夏美は春やす子が演じた。
●Hot100とかでも動画配信サービス系のコンテンツに関する問題が散見されるので対応しようと思ったら、「昭和お笑い史」に収斂してしまった...
●事前に主役の情報が流れた際に創作した問題なので、仲間内には出題済。ちなみに「昭和お笑い史さん」も正解できずスルーでした。
●私の感性上、問題文の最初の「お笑い芸人」というワードは、この問題に関しては絶対に必要。他人の基準が何であれ絶対に必要!



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