第2回・・・クイズ研究会に入るべきか?


4月、新しい年度、そして新学期。新しい環境での生活をスタートさせた方も多いだろう。今は、様々な事柄を強いられる一方で、様々な事柄を選択できる時期でもある。そこで、今回のテーマは「クイズ研究会」に入ることを選択すべきか否か、ということだ。私は、前回書いたように「クイズ=クイ研」ではないという考えを持っているので、それを前提に話を進めていきたい。

さて、本題に入る前にもうひとつ、前提となる考えを紹介しておきたい。それは、
「クイズはアルコールである」
という持論だ。要するに、クイズは酒と同じで、適度にたしなめば楽しいものだが、度が過ぎると身を滅ぼしかねないということなのだ。この例えも用いながら、高校、大学、社会人の3つの段階に分けて考えを述べたい。

○高校
結論から言うと、高校生の時点でクイ研に入ることを、私は薦めない。理由は以下の通り。
・「学校の勉強」が「クイズの勉強」より大事・・・これは見たままの意味はもちろん、もう一つの意味がある。「クイズによく出るような知識・情報は、クイズの勉強などしなくとも、授業の中でいくらでも手に入る」ということだ。
・「普通の友達」が「クイズの友達」より大事・・・これも字面通りの意味と、「いろいろな方向性を持った友達と接することが、結局自分の世界を広げ、その世界の中にクイズの世界も含まれていく」という意味がある。
・クイズを思いきり楽しむ場がある・・・これは言うまでもなく「高校生クイズ」のこと。私の高校時代も、予選が近づくと、休み時間に他の参加者(もちろん皆、クイ研ではない)とクイズをやった経験がある。

ということで、普通に高校生活を送っているだけで、クイズとの接点はたくさんある。へたにクイズの味を覚えてしまうと、その結果、学業や友人関係での大切なものを見失う可能性が大きいように思うのだ。
本来高校生は飲酒禁止。クイズも体に(心にも)毒。ただ、たまに文化祭の打ち上げとかで羽目を外して酒を飲んで盛り上ったりもするのが現実(私の経験)。それと同様に年一度の「高校生クイズ」で思いっきりパワーを発散するのは良いことだと思う(酒を飲んで盛り上るのことを「良い」と言ってるのではないですよ)。
「高校生クイズ」も最近はクイ研の高校生による「クイズオタク王決定戦」になってしまってつまらない。参加者も減っているようだ。これは、問題を大学のクイ研が作っていることによる「悪循環」が大きな要因だろう。もっと昔のような良質の問題と企画を作って、クイ研以外も活躍できるようなものにして欲しい。今年あたり、そんな番組が見たい。そのためにも、「非クイ研」の高校生にもっと番組に参加して欲しいと思う。

○大学
大学に入ると、高校とは環境が大きく異なってくる。何より、学問が「専攻」という形で深く専門的なものになる。そこは、同じ方向性を持った人たちの集まった狭い世界だ。その一方で使える時間をたくさん持てるようになり、バイトや旅行などの経験を通し、自分の世界を高校時代とは比べ物にならないほどに思いきり広げることができる。
私は、それぞれの持つ自分の世界をぶつけ合う場として、クイズ研究会は非常に有効な組織ではないかと思っている。同じ(「クイズ好き」という)方向性を持ちながら、様々な学部(あるいは大学)の人達が集まるという意味においてゼミより広い世界。そして、その中で吸収できるそれぞれの経験や知識・情報は、高校生とは比べ物にならないほど広いものだ。
問題は、クイ研がそのような、各自の世界をぶつけ合う場として機能しているかどうかである。オープンに勝つためとか強くなるためとかで、自身の触れる世界とはかけ離れた「クイズの世界」を追求する場になっているのなら、あまり入る価値はないし、入らないほうが身のためだ。
もし、今クイ研入りを考えている人がいるのなら、とりあえず、一度その雰囲気を感じてから判断を下して欲しい。そのサークルが、様々な世界を持つ人と触れ合える「パブ」のようなものだったら、仲間に加わるべきだ。しかし、「アル中患者の溜まり場」に思えたなら、その瞬間に引き返し、他の場所を探した方が良い。

○社会人
大学時代クイ研にいた人の場合、社会人とクイズサークルの関わりは、基本的に大学の延長線上に位置付けられるだろう。クイ研の仲間との関係を続けていく中で社会人サークルを作ったり、すでにあるサークルに入ったりする場合が多いようだ。また、サークルという形でなくとも、そういった仲間との集まりの中でクイズをしたりすることもあるだろう(私の場合もそう)。要するに、大学のクイ研の「各自の世界をぶつけ合う場」が、それぞれが社会人になったことにより、さらに異なった世界をバックボーンにして継続されていくという型だろう。
社会人として、仕事関係以外の人との交流はとても大切なことだ。そして、私がクイズを通してそうした仲間を持ち続けていられることに対し、「TQCに入って良かった」と素直に思えるのだ。

大学でクイ研にいなかった人の場合には、いまある社会人サークルの中で、そうした人を受け入れる雰囲気を持つところがあれば、それを選べばいいのではないかと思う。
いずれにせよ社会人は学生に比べ、仕事に関する部分での世界が広がる一方、自分の時間が持てなくなるために従来の世界は狭まる。クイズにどっぷりとつかるわけにもいかなくなるが、それによりサークルが「クイズの世界」を追求するような雰囲気は学生に比べ薄れるのではないか(あくまで推測だし、サークルによりけりだとは思いますが)。
ただ注意したいのは、あくまでも「たしなみ」の次元でとどめておくということだ。クイズの「現役」でいることを最大の目的とし、それを可能にするような職を探したり、仕事そっちのけでクイズを優先させるようなことは絶対にあってはならない。この時点での「クイズ中毒」は、間違いなく一生を棒に振るものになるからだ。

 

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