第5回・・・「iQバトル20世紀」2次予選報告


広末涼子が早稲田に初めて登校した今日6月26日、私はお台場に移転したフジテレビに初めて行った。「iQバトル」の2次予選のため局の前に集合した挑戦者の多くは、既に私の知らない「クイズ界(そんなものは社会的には存在しませんが)」の人だった。今となっては私でも入りこめない一つの世界を形成し(入りこめないのはこのHPにも原因はあるのですが)、まるでクイズ国のクイズ人がクイズ語で会話をしているように見えた。
私は今からその国の人になろうとは思わない。ただの「クイズ好きの一般人」でいい。そして現在、そのスタンスでどこまでクイズを楽しめる状況にあるのか、結果を残せる状況にあるのかを知るために「iQバトル」に挑戦したのだ。

もしもクイズに初めて挑戦した人がこの場にいたら・・・。クイズ自体から離れてしまうかも知れないな、と思った。似たようなシチュエーションは、クイ研に入り立ての学生が「オープン」に参加した時にもあるだろう。あるいはサークル内でも見られるかも知れない。まあ今回はクイズの「素人」は事実上いないので、仲間内で盛り上ることも構わないのだが、内向きの盛り上りは底辺を削るという自覚だけは持って欲しい。

局内に移動。昔との大きな違いは警備が厳しくなったということだろうか。入館証を首から下げ、予選終了までトイレにも行けないという。会場となった会議室の大きな富士山の絵を見ながら、私はその「昔」を思い出していた。

 

1990年9月・・・私は会議室の大きな富士山の絵を眺めていた。「第1回FNS1億2000万人のクイズ王決定戦」の追加合格者を決める予選が、河田町のフジテレビの円卓会議室で行われようとしていた。高校1年生だった私は、クイ研の人達の入り込めない会話を聞いていた。
クイ研ではなかった私にとって、視聴者として見るTV番組以外で新しいクイズ問題に触れる機会は皆無に等しかった。そんな状況だったからこそ、私は勝ちたかった。どんどん勝ち進んで、放送では大半がカットされるであろう沢山の新しいクイズを聞きたかった。その気持ちが本選の準決勝まで進出という、出来すぎた結果となった。

 

今の状況は9年前に似ている。あの頃の気持ちが富士山の絵によって蘇った。30問の筆記クイズでは、忘れているはずの答が急に浮かんできたりした。問題は「クイズで聞いたことのある」ものがほとんどだったが、その多くが「オープンクイズ」ではなく、TVのクイズだったのが私にとっては好都合だった。8割前後はとれただろう。

そして簡単な面接。結構ネタを考えていたのに本当に「簡単な」もので、筆記問題の印象や、ネットのクイズへの要望くらいしか質問されなかった。ただ、合格者の選定の材料としてのウェイトは低くはなかったのではないかと思う。

そういえば、「クイズ番組における面接」についての考えを述べていなかった。昔から視聴者参加クイズを見ていた私にとって、クイズ番組での面接は当たり前、という感覚がある。当時のクイズでは、「強い人」よりも「面白い人」が目立っていたように思う。クイズ番組である以前に「テレビ番組」なのだから、面白い人が出たほうが、面白いテレビ番組になったのは当然だろう。むしろ、面接のない「FNS」や「史上最強」の方が異常なケースなのだ。いくら「純粋にクイズに強い人を出場させる」としても、その前提としての「テレビ番組」に向かない人は番組に出すべきではない。

この「テレビ向き」かどうか、というのは天性のものではなく、身につけることができると思う。自分がどう見られていいるかを考え、どのように見て欲しいかを判断し、自分をアピールすればいい。これはクイズに限ったことではないと思うけれど。そうした意識を普段から持っているかどうかの差が、面接には表われる。正直言って、「オタク」と呼ばれる人ほどその意識が低い。内向きの盛り上りしか頭に無いからだ。

ついでに。今更という感じだが、去年の「ウルトラ」の「ピカイチ芸」は、面接をショーアップしたものだと考えるとわかりやすい。短期間で、「TVの中での自分」をアピールする方法を身につけられるかの勝負だったのだと思う。だから、「暗記系」の芸なんかいくら一生懸命やったって無駄。それ自体「テレビ向き」ではない、ということを判断できなかった時点で負けなのだ。ちなみに私は、短期間の特訓で「テレビ向き」の芸を修得し、見事に合格した人を知っている。
あ、「ポン食い」は最低の企画だったと思っていますよ。

話を予選に戻そう。面接の待ち時間に「iQバトル」の第1回、第2回の本選を見ることができた。初めて本選を見たのだが、予想外に面白かった。予選問題の内容から推測して、「オタクの早押し競争」を見せる番組かなあ、と思っていたのだが全然違っていた。量より質の内容であり、答をじっくり考えて書く問題が多く(「小論文」なんてのもある)、早押し問題にも詳しい解説がされていた。久々に心の底から「出たい」と思えるクイズ番組に出会えた気がした。見ていても純粋に楽しめ、「参加したい」と思えるのではないか。だからこそ、あのネット上の「日常離れ」したクイズが残念で残念で仕方がない。

予選通過者の中に自分の名前が含まれていたことは、本当にうれしかった。「出たい」番組に出られることももちろんだが、私の中の1つの目標が達成できたからだ。それは「高校・大学・社会人の全ての段階でのクイズ番組本選出場達成」である。あくまで学業(浪人・留年ナシ)や仕事を優先しながら、底無しの魅力(魔力)があるクイズと付き合い続けたことの結果である。クイズから完全に離れれば、苦しむことはなかったろうし、クイズにどっぷりと漬かってしまえば、それはそれで楽しかったのかも知れない。でも、その両者の間で、常にギリギリのところでバランスを取ってきたことを誇りに思いたい(このHPでの厳しい発言も、外に対しての提言と共に、自分自身のバランスの維持が目的なのです)。そして、そのバランス感覚の大切さを良くも悪くも教えてくれた、TQCの皆さんを始めとする私の周りの全ての人達に感謝したい。本当にありがとうございます

本選は来週。報告は再来週にでも。

 

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