第9回・・・「iQバトル#11」出場記(前編)


朝早く仙台を出て、新幹線に乗る。東京から新橋(ラーメンズ風に「シンヴァシッ」と読みましょう)に行き、「ゆりかもめ」でお台場へ。「iQバトル」予選も3度目となると、会場のフジテレビへも迷わず予定時間に着ける。前回は落ちたので今回は是非通過したい、といつになく気合いが入っていた。

予選会場の雰囲気については、基本的に以前書いた時と変わりがない。ただ今回は、先輩の金澤バトラー(#8)が居ることで救われた。問題に関しては、以前書いた時より「オタククイズ」化している印象は否めないが、「紅衛兵」とか「ピノチェト」といった、クイズ以外で入手できる知識が問われており、前回よりはマシだった。
「私としてはクイズで正解した問題の知識の内、クイズで仕入れた知識の割合が低いことをそこそこ誇りにしている。」
これは、私が師と仰ぐ水谷先輩(現・ロンドン大学クイズ研究会)の言葉であるが、私も全く同感である。そしてその割合は、「20世紀」に対象を限定したクイズならば、通常のクイズよりも低くなるはずなのだ。なぜなら、普段クイズ以外で身につける知識の大半は「20世紀に関する知識」なのだから。
ところが、この番組(特に予選)は「20世紀のクイズ的なカテゴリー」を対象にしてしまっている感がある。同じ30問のクイズなら、その後受けた「アタック25」の予選問題の方がずっとクイズ以外の知識で解ける。だからこそ老若男女に支持されているのだろう。それが問題の作り手としての「アマ」と「プロ」の差なのだろうが・・・。
余談だが、他の予選参加者にとっては「紅衛兵」や「ピノチェト」は「難しい問題」だったらしい。まあ紅衛兵もピノチェトも、オスカーやノーベル賞やネバンリンナ賞はもらってないし、元素も発見してないし、オリンピックにも出てないし、小惑星の名前にもなっていないからね。

その日の夜は、金澤バトラーの代と私の代のTQCメンバーの一部が集まり、「iQバトル(#3と#8)」の鑑賞をした。皆、仕事や学問をメインとして生活しているクイズ好きの人達である。そんな彼らの率直な感想や意見は、クイズをメインにしている人達のそれとは異なり、非常に参考になると共に励みになった。ただ、皆さん毒舌なのでここには詳しい内容を書けないのが残念である。個人的には、私の100倍は毒舌である金澤バトラーが画面では「好青年」に映っているのが不思議でしょうがなかった。

翌週の月曜に合格の電話を頂き、水曜には詳細の書かれた速達が届いた。エポック・バトルのテーマは「世界の大富豪」か「ウォーターゲート事件」。スター・バトルのテーマは「世界の冒険家」か「エジソン」。以前出場した時は、どちらかのバトルが早押しだったのだが、今回は両方とも書き問題である。事前に下調べをしての早押し競争は見ていてつまらないと判断したのなら、大いに評価できる。
しかし、これで有利になったわけではない。早押しなら1人だけにポイントが入るが、書き問題の場合は自分以外の4人にポイントが入ることもある。おそらく他の出場者は完璧に情報を収集して来るだろう。ここで大きく離される可能性もあるわけだ。
「ウォーターゲート」は、昔見た映画「ニクソン」のパンフがあったので何とかなりそうだったが、その他に関しては不安だった。そこで情報提供を依頼する。金澤バトラーや後輩の鶴バトラー(#5)が協力してくれた。特に金澤バトラーには夜遅くに電話で質問したりして、さぞ迷惑だったと思います。有難うございました。

前日の土曜日(今回は日曜収録だった)。鶴バトラーがTQCで企画を行うということで、無理言って例会に出させてもらう。前回は手の遅さが目立ったので、調整しておこうという狙いである。久々の例会、久々の早押しで、勘は大分取り戻せた。そして、なぜか優勝までしてしまった。鶴バトラーに感謝!なお、彼のクイズ問題は非常に面白い。ホームページで見ることもできるので、ぜひ参考にして欲しい。今のところ、私が唯一刺激を受ける「クイズの」ページである。

いよいよ本番当日。会場に着くと永田喜彰氏の姿があった。実はこのページを立ち上げた直後に、永田氏からメールを頂戴していた。そこには「近いうちにQUIZができる事を願っています」という嬉しい言葉が書かれていた。まだ「iQバトル」が誕生する前の話である。だから「まさか、こんなに早く実現するとは・・・」と感慨深いものがあった。永田氏との対戦は「第7回FNS」の1対1クイズで敗れて以来。もう6年も前のことだ。気づいたら私も10年選手(1990年の「第1回FNS」がデビュー戦)なんだなあ。
他の出場者は村上彰氏、春日誠治氏、牟禮大造氏。村上氏は「20世紀クイズ王」の東北予選でお見かけした。予選のペーパー1位だった人である(私は3位)。春日、牟禮の両氏ともオープン大会で面識はあるらしいが、忘れてしまっていた。ごめんなさい。でも、もちろんその「強さ」は以前から耳に入っていた。要するに全員、私よりずっと「強豪」なのだ。「また5位(=ビリ)か?」と思い、ちょっとブルー。と思っていたら「ブルーバトラー」と判明。

控室は前回と違って静か。こういう雰囲気は嫌いではない。緊張気味の他のメンバーをよそに、1度出ている私はいつになくリラックスしていた。スタジオに入ってからもそれは変わらず、司会の2人と「お久しぶりです」などという会話もできた。前回はレッドバトラーで、2人とは最も離れた席だったが、今回は一番近い席でうれしい。特に島田アナを間近で拝見できるのは感激である(本当にTVで見るよりずっと美しい)。さらに、リハーサルの早押し問題にも正解でき、良い流れができあがる(正解できたのは、問題が前回と同じだったからなのだが)。

いつもはエンジンがかかるのが遅い私だが、今回は快調に飛ばせそうだ。そう思いつつ、本番を迎えたのであった。(後編へ続く)

 

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